EXHIBITION
黒谷和紙作家 ハタノワタル展「ひかり」
東京代官山のgallery ON THE HILL(一般社団法人オンザヒル)は、2026年2月20日(金)から3月1日(日)まで、代官山ヒルサイドテラス・ヒルサイドフォーラムにて、京都府綾部市を拠点に活動する黒谷和紙作家 ハタノワタルによる個展「ひかり」を開催しました。
当ギャラリーでのハタノによる個展は今回で3回目となり、「ひかり」をテーマとする新作の平面作品を中心に、ハタノが運営する和紙工房「紙漉キハタノ」の仕事を紹介する展示も同時開催しました。
兵庫県の淡路島で生まれ育ち、多摩美術大学で油絵を学んだハタノワタルは、在学中に絵画の支持体として和紙に出会い、その丈夫で美しい素材感に魅了されました。なかでも強度があり、どこか懐かしい素朴な風合いを持つ黒谷和紙に惹かれ、25歳の時に黒谷和紙職人になる道を歩み出します。
ハタノは、伝統工芸である紙漉きと古くから続く日本の暮らしを活動の根幹としながら、和紙を素材としたアート制作や内装施工などを通して、現代における多様な和紙の可能性を体現してきました。800年の歴史を持つ黒谷和紙と向き合う中で育まれた美意識は、古と今を繋ぐハタノの創作へと昇華されています。
本展では、ハタノワタルの新作を中心に、「ひかり」をテーマとした作品群を発表しました。ハタノにとって光とは、単に明るさや美しさを象徴するものではありません。雲の動きによって変わる室内の色、季節によって移ろう草木のトーン、夕暮れの空気のにじみ。そうした自然光の微細な変化に自身の感情を重ね、過去の風景とともに記憶された「光」を作品に映し出しました。
明るい色を用いながらも、作品全体のトーンにはどこか沈んだ気配があります。それは光を単純な明度としてではなく、闇から光へと移ろう時間そのものとして捉えようとする、ハタノの感性の現れです。
また本展では、ハタノが立ち上げた黒谷和紙の工房「紙漉キハタノ」の取り組みについても、映像や和紙製品を通してご紹介しました。和紙の産地が減少する中、制作・加工・空間提案までを一貫させ、他産地とのネットワーク構築にも取り組むなど、和紙の未来を見据えた活動を続けています。
ハタノが表現する「ひかり」は、同時に黒谷和紙の未来を照らす光でもあります。暮らしの在り方や継承への姿勢、そしてこれからをどう生きるかという問いを内包した、闇と光のあいだに立ち上がる静かな「ひかり」をご紹介しました。
Category: Exhibition
Date: Feb. 20 to Mar. 1, 2026
Venue: galley ON THE HILL(HILLSIDE FORUM)
Creation: Wataru Hatano
Organize: ON THE HILL Association
Photograph: Norio Kidera
Exhibition Cooperation:
Masahiko Takeda (Sound Production), listude (Speakers), BAKS inc. (Video Direction)
Gallery Talk: Wataru Hatano, Daisuke Nakayama
